171-参-予算委員会-23号 平成21年05月22日

平成二十一年五月二十二日(金曜日)
    午前十時一分開会
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   本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○平成二十一年度一般会計補正予算(第1号)(
  内閣提出、衆議院送付)
○平成二十一年度特別会計補正予算(特第1号)
  (内閣提出、衆議院送付)
○平成二十一年度政府関係機関補正予算(機第1
  号)(内閣提出、衆議院送付)
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○相原久美子君 三人の参考人の皆様、本当にありがとうございます。民主党の相原久美子でございます。
  私は、政治というのはもちろん経済を見ながらしなければならないけれども、どこの視点か。やっぱり国民の生活、国民のための政治だという観点から、今国民が不安を抱いていることにどうやって対応していかなけりゃならないのかと、そういう思いから少し質問をさせていただきたいと思います。
  まず、木内参考人にお伺いしたいと思います。
  今日のお話、それから幾つかの文章等々も読ませていただき感じるのですが、今回の日本の経済危機は、いわゆる外国の影響、海外での経済の危機が相当影響しているというようなことをおっしゃられました。これは、昨今ずっと言われていますように、どうしても外需、輸出に依存してきた結果だと言われているわけです。じゃ、そこの評価と、今後このまま外需依存型を続けていくのがいいのかどうか、是非お考えをお聞かせいただければと思います。

○参考人(木内登英君/野村證券株式会社金融経済研究所経済調査部長) 外需依存度が高いのが悪いということではないと思います。それはすなわち、日本経済が海外の人に買ってもらえる非常に優れた製品をいっぱい生み出しているということが一つであるからであります。しかしながら、外需依存度が非常に高まってしまったと。例えばGDPに占める輸出の比率などは、数年前一〇%ぐらいであったのが昨年の時点で二〇%にもなると、外需依存度は二倍に数年の間に高まったということであります。今回は残念ながらその大きな弊害が出てしまったということだと思います。
  これは、民間、政策、両方あると思いますが、例えば民間の企業でいいますと、国内市場をややおろそかにしてしまったんじゃないかなと、国内の消費者の嗜好に合うような製品を必ずしも生まなくなってしまったと。一方で、海外、特に新興国の消費者にかなりターゲットを当てて輸出を増やすないしは現地の生産を増やすという方向でいって、内需をややないがしろにしてしまったというのがこの数年の一つの反省だと思います。
  もう一つは、政策的にはやはり内需を刺激するという政策が必ずしも取られてこなかったということであります。数年ほど前までであれば、例えば構造改革、規制緩和ということで、その評価は分かれるところではございますけれども、規制緩和によって将来的に内需を拡大させていこう、新しい産業を育てていこうというような考え方があったと思いますが、過去数年の政策でいいますと、やはり内需に目を向けた政策というのが取られなかったということであります。
  ですから、外需が悪いというわけではございませんけれども、このままでは確かに内需が刺激される、新しく内需が拡大するという展望をなかなか持ち得ないということであります。ですから、政策的にはやはり内需を刺激するような方向に政策を転換する必要があると思います。
  ただ、それは簡単にはやはりできないということですね。経済がこういう状況でありますので、急に個人の所得がいっぱい増えるわけではないということであります。そうしますと、例えば規制緩和、今余り流れはとどまっていますが、というのを進めていくのももちろん一つだと思います。ただ、その場合には、規制緩和というのは一時的にはデフレ効果を生むということでありますので、その場合に、つまり国民に、短期的にはデフレ効果はありますけれども将来的には生活の向上であり内需の振興につながっていくということをしっかり説明した上で、少し先の将来を見据えた内需刺激策の方に方向転換をしていくというのが必要なのではないかなと思っております。

○相原久美子君 ありがとうございます。また時間があればこの点について質問させていただければと思います。
  嶋中参考人にお伺いいたしたいと思います。
  現在の金融危機、それから経済危機、日本の置かれた状況、この分析というのは恐らく大方の人がそうそうの大きな違いはないと思うんです。ただ、これをどうやっていくのかということが非常に大きな分岐点になってくるかというふうに思います。その意味では、幾つかのところでお話しされていまして、今も木内参考人の方からもお話がありました。いわゆる新しい産業を日本の中でどうやって生み出して、内需の拡大を図り、国民の所得を増やしていくか、この辺で何か御意見ございましたらお願いしたいと思います。

○参考人(嶋中雄二君/三菱UFJ証券株式会社参与景気循環研究所長) 適切な御指摘、ありがとうございます。
  まず、当面はG7、G8あるいはG20各国が世界で力を合わせて景気対策に全力を尽くすと、これがこの金融危機に端を発する世界不況を終わらせる近道だと思います。
  そして、先ほどのオバマ大統領の例でもありますし、あるいは民主党さんの生活が第一の緊急経済対策にも出ておりますけれども、いわゆる環境問題というものが社会的な課題になっております。社会的課題として大きいものというのは、過去の例を見ると基本的に大きな産業になっていく力を持っていると思います。介護とか医療もそうでありますし、そしてこの環境問題というのは極めて大きな可能性を持った産業になるんじゃないかと。
  例えば、グリーンイノベーション機構による未来産業への投資なんというのを提案されていますけれども、こういうようなことによって特に、何といいますか、同じやるんでも、同じ例えば公共投資をやるんでも、熱効率を上げる建物を建てますよとか、あるいは研究開発投資の方向は環境問題に特化してやるとインセンティブがありますよというような形で、環境先進国と既に日本は言われているんですけれども、その存在感を更に強めることによって、先ほど、輸出、外需主導型のことを言われていましたけれども、日本のある意味で輸出できる重要産業に環境産業を位置付けていくような、そういう努力をやっていくことが必要だと思っております。
  その意味では、今環境問題が大変だ、それからパンデミックの可能性もありますから、インフルエンザ問題も大変ですよね。今政治家の皆様が議論されている大きな問題はみんな産業としてビジネス化できる余地がありますから、その基盤を是非政策的につくっていただきたいなというふうに国民の立場からも考えておりますので、要するに、社会的課題が産業たり得るというふうに思っているということであります。

○相原久美子君 ありがとうございます。
  それでは、小杉参考人にお伺いしたいと思います。
  先ほどのお話、それから、多分社会保障国民会議の委員としても御発言がされておりました中身を見ましても、やはり今若者たち、これからこの国を背負っていく若者たちの先行き次第でこの国の、日本のいわゆる財政状況ですとかすべてが決まっていくわけで、本当に私は深刻な問題だと思っているんです。
  それで、先ほど、今回の七千億のいわゆる緊急人材育成支援事業、ここの分について評価をいただきました。ただ、私としては心配なのは、育成して研修してスキルを積む、そういう門は開くのは当然だと思っています。ですから、若者に対して投資をしていく、この国を考えたときにというのは分かるんですが、さてそれじゃ、現実的にやはり仕事に就いてもらって、そして納税をしていくという仕組みまでつくっていかなければならない。これが、今回の七千億の事業の中を見まして、何か御意見ございましたらお願いしたいなというふうに思います。

○参考人(小杉礼子君/独立行政法人労働政策研究・研修機構統括研究員) 現実的にというところまで落とし込まれては書かれていないように私は思ったので、これからの運用次第というふうに思っております。
  先ほど、その運用の課題として、ジョブ・カード制度を是非その柱にしてほしいというようなことを申し上げました。あの仕組みを私が一番評価しているのは、企業の現場で実際に需要があるところで働く経験をして、そこで能力を付けるわけなんで、その先の雇用に非常につながりやすいという意味ですね。
  それからもう一つは、それは単にトライアル雇用のような形で企業に補助金をやって雇用の体験をさせればいいという話ではなくて、ジョブ・カードとしたときには、訓練としてのプログラムがきちんとできるということなんですね。これは実は日本の中小企業には訓練をちゃんとプログラムするということが十分できていないところが多くて、見よう見まねで覚えろやみたいなところがまだまだあるところがあるんですよね。そういうところに訓練の仕組みをきちんと提示して、こういう手順でこうやって、あるいはマニュアルなんかを整理すること、あるいは訓練の程度を見える化するとか、何がどれだけできるか見える化するとか、そういうスキームを提供するとか、そういう訓練の仕組みを提供することもセットになっているんですね。
  ということは、その個人が能力が上がって就職できるからいいよねというのにプラスして、中小企業の教育力が高まる、それはつまり中小企業の生産能力が高まることにつながると思うんですね。そこまで組み合わされているというところです。運用に当たってというところでは、そういうきちんとしたスキームを是非その中の柱にしてほしいということです。
  そこでネックになるのが、先ほど申し上げましたジョブ・カードという制度が再チャレンジのときにできたために特別な人を想定している、非常に再チャレンジが難しい人の底上げをしようねというところが強調され過ぎているので、もっと普遍的な制度にする必要があるので、新しい仕事にチャレンジする人がだれでも使えるような制度にしてほしいというふうには思っております。

○相原久美子君 ありがとうございます。
  それでは、木内参考人に先ほどの部分についてまた多少ちょっとお伺いしたいなと思います。
  私も、外需、この依存型ということではなくて、内需、外需のバランス、これはお話しになったとおりだというふうに思うんですが、実は内需の拡大というのは、これは産業の育成ということももちろん政策的に必要だとは思うんですけれども、この間、私たちは働く者のいわゆる生活状況を見てきましたときに、企業は一定程度、国内企業、利益を上げてきた、でも、残念ながら労働者への労働分配率、ここが非常に落ち込んできた。あえてそうしてきたのではないかと私は思っているわけですけれども。そうすると、なかなかこの内需というのは産業の育成だけでは成り立っていかないのではないか、そのように思うわけですけれども。
  今までのいわゆる、もちろん政策もあります、企業政策もあります、こういう経過を見てきまして、今後の日本の企業、それから政策の在り方について、何か御意見あれば伺いたいと思います。

○参考人(木内登英君) 労働分配率は民間のいろんな交渉の中で決まっていくものでありますので、なかなか政策でそこの配分を変えていくというのは正直言うと難しいところがあると思います。
  過去数年にわたる景気の回復の中で、確かに企業の収益は非常に膨れ上がり、一方で、賃金、労働者に配分される比率が低くて、労働分配率が非常に下がってしまったということはあったと思います。ただ、私は、もし今回のグローバルな金融危機がなくて、もっと景気の回復が続き、失業率も更に下がり、労働需給が逼迫していればやはり分配率は上がっていく方向にあったのではないかなというふうに思います。ですから、海外で一種そういうアクシデントが起こってしまった結果、残念ながら個人にそういう恩恵が及ぶ前に景気の回復が終わってしまったということなのではないかなと思います。
  今の景気の後退期、我々は来年年末、来年の後半辺りからまた回復に転じるというふうに思っておりますが、確かに御指摘のとおり、失業率も相当高い水準まで行ってしまいます。例えば来年の年末辺りですと六%近くまで上がると、過去最高の水準に行くと思います。そういう状況ですと基本的には人が余る形ですので、労働者、働く人の方が交渉力が落ちてしまいますから、なかなか賃金は上がりにくいということです。ですから、個人の環境というのはやっぱり向こう数年は非常に厳しいんではないかなというふうに思います。
  そういう中で、内需を刺激、振興させていく一つの方策、産業育成以外に何があるかという御質問でしたが、一つは、日本の経済は確かにGDP成長率という一種フローで見ますと非常に低迷してしまっていますが、一方で、資産、ストックで見ますと依然として世界一流というところがあります。つまり、個人が持っている個人の金融資産というのは非常に巨額のものがあります。これをいかに活用していくかというのは、恐らく今回の緊急経済対策の中でも当初はそういう議論が比較的されていたんだろうと思うんですね。それをもう少し前向きにやっていく必要があるのではないかなと思います。特に、シニア層が抱えている個人の金融資産をいかに経済の活性化に振り向けていくかということであります。
  一つの方策として重要なのは、やっぱり物価が上がるという期待をつくるということも重要なんじゃないかなというふうに思うわけです。つまり、個人が金融資産を持っていても物価がどんどんどんどん下がっていくという中では、じゃ銀行預金、金利も低いし銀行預金のままでいいのかということになってしまうわけですね。ところが、物価がどんどん上がっていくという期待、つまりデフレが解消するという期待が出てきますと、個人はこのままでは自分の資産は目減りしてしまうと、そうすると、例えば銀行預金、あるいは現金の形で持っているお金を株式に替えましょう、あるいはそうではなくて土地を買いましょう、あるいは自分の資産をいろんな物で持っておきましょうというような、資産を入れ替えるような動きがインフレ期待が出てくれば出てくると思います。それに伴って土地への需要が出てくる、あるいは個人がいろんな耐久財を買うことにもなってくると思います。
  ですから、一つ政策的に重要なのは、今これから日本はまた再びデフレに向かってしまいますけれども、そのデフレ期待を非常に強まらないようにしていく、あるいはできるだけ早期に物価が安定するような期待を高めていくということが実は非常に重要な内需振興の手段になってくると思います。
  こうなりますと、私の最初のお話の最後の方でもちょっと申し上げましたが、財政というよりはやはり金融政策の話になるんじゃないかなと。例えば、日本銀行がインフレターゲットを設ける、これは日本銀行だけじゃなくて日本銀行と政府の共同の目標ということでもいいと思うんですが、中長期的に物価を安定させる、やはりある程度はゆっくり上がっていくんだということを目標にした政策運営をしますというコミットメントをする、それによって個人が物価が上がっていくという期待が出てきますと個人の今いわゆる眠っている金融資産が動き出すと、これが実は重要な内需振興にもなると思いますし、日本が非常に持っている重要な財産を経済の活性化に活用していく重要な手段になるんではないかなと思っております。

○相原久美子君 ありがとうございます。
  小杉参考人にお伺いしたいと思います。
  いわゆる若者に対する就職支援等々生活支援、先ほど来一定の評価をしていらっしゃるし、必要なのだということで言っていただいた住宅の扶助ですとか、ここで非常に常に問題になってきますのは、セーフティーネットの拡充というのはモラルハザードを起こすというような意見も出てくるわけです。この辺についてどういうような御意見がありますでしょうか。

○参考人(小杉礼子君) それは必ず出てくる議論なんですけれども、私はそこで大事なのがやはりカウンセリングとか相談とかいうところだと思うんですよね。ほかの国なんかの政策でもその部分がかなり重要で、単に支給するのではなくて常に見守って相談して元気付けて、モラルハザードって、もらえるだけもらって後はいいやというよりは、どうしていいか分からなくなってしまったりすることがあるんで、常にだれかが元気付けるといいますか、そういう役割の人がいるということがかなり大きな部分、自分はだれかに見られているというところが。ニート対策についてはかなりそういうところがあって、それがかなり重要な役割を果たしているんですね、だれかが自分に関心を持ってくれて勇気付けてくれる人がいるということが。そういう個別の人に対してのケアというのとセットにすることで効果は高いのではないかというふうに思います。

○相原久美子君 嶋中参考人の先ほどからのお話を伺っておりましたときに、当面はとにかく世界との連携を図ってきちっと金融対策、経済対策をして、そして次にやはり日本として新たな一歩、政策を打ち出すべきだというふうにおっしゃっていただきました。私もその点は本当に必要なことだというように思っているわけです。ただ、今回の補正の議論のときに、そうはいっても余りにもやはり有効性のないお金の使い方というのはいかがなものかという観点から私たちはこの予算案を見させていただいているわけです。
  その意味で、できればこういうような形でもう少しこの予算案を内的な部分で膨らませたらまだ効果が出るのではないかと。先ほど来伺っていますと、皆さんのお考えでは確かに効果のあるものもあるけれどもちょっと懸念する部分もあるというようなニュアンスが含まれていたのかなというふうに思いまして、ちょっとその点、何か我々が見る目ではない方向から御意見があればお伺いしたいと思います。

○参考人(嶋中雄二君) いわゆるワイズスペンディングの問題かと思いますが、そのワイズスペンディングの議論を最初ケインズが一般理論で言っているわけなんですけれども、穴を掘る例え話をして、そういうことではなくて住宅やそれに類するものを造っていく方が賢い支出だろうというようなことを言っています。
  しかし、住宅は効果があるんですよね。経済効果のあるものをできるだけやっていくことがまさに経済政策というところもありまして、したがいまして、私は、先ほど尾立先生からの御質問ありましたけど、基金の問題等なかなか難しい問題があるんだなとは認識しておりますけれども、それがワイズスペンディングかというふうに言われるとちょっと考えてはしまうわけであります。
  ただ、先ほど言いましたように、時間的な制約もあったということで、今後どうするかもうちょっと長期的視点で考えましょうといったときに、やはり産業構造をどうするかということであります。少子高齢化の中で高付加価値産業を育てていって、日本経済の成長を維持していかなければなりません。
  そこで出てきたのが、社会的課題として非常に大きい環境問題であったというのが一つあります。あるいは観光というのもありますよね。これは当然、都市の再生、地域の再生によってきれいになっていくことによってたくさん海外から人が訪れるようになるかもしれません。こういうところも産業になっていくわけです。あるいは高度の医療産業だとかロボット産業とか、手先の器用な日本人は割合と細かいナノの世界なんかが得意でもあります。
  というようなことで、そういうまさに規制緩和をこれからやっていけばかなり伸びる余地があるような産業を重点的に育てていくような形ですね。政府が常に幼稚産業保護みたいにずっと張り付いていなければいけないような産業をずっと抱え続けると、今までのような旧来型と言われる政策の問題点が出てくるわけであります。
  そこで重要なのは、もう一つ、農業ですよね。中国などで生活水準が非常に上がって、日本の作る優秀なおいしいお米を食べたいという人たちも大変増えてきています。そういう食というものも一つの産業になってくるだろう。
  というようなことで、これは内需であり外需でありますのでバランスを取ることは難しいですし、また無理に内需主導型ということで、前川レポートというのはありましたけれども、一生懸命日本は内需主導型に向かって努力したんだけれども、ちょっとバブル的な弊害になってしまったところもあったわけでありまして、そこら辺も十分気を付けつつ、その意味では財政政策ではなく金融政策だけでというわけにもいかないという、バブルの弊害ということを考えますと、マクロ政策を併用しながら名目経済成長率、インフレ率だけではなくて名目経済成長率をある程度目標を持って望ましい水準に引き上げてくるような、そういう政策にまとめ上げていただければと思います。そういう意味では、民主党さんにも是非頑張っていただきたいなというふうに心から思います。

○相原久美子君 ありがとうございます。
  最後の質問になるかと思います。木内参考人にお伺いしたいと思います。
  実は、幾つか参考人のお書きになったものを読ませていただきましたときに、今後の労働力不足、ここを指摘されていらっしゃった。多分、対談か何かのところでおっしゃっていたのではないかと。その意味では、定年の延長、女性の労働力の参入、そして外国人労働者の受入れ等々の示唆がございました。ここについて御意見がありましたら、そして、そういう拡大を図るには絶対にこういう政策が必要なんだという、大事にしなきゃならない視点がありましたら、そこもお考えをお聞かせいただければと思います。

○参考人(木内登英君) 日本の将来の成長率、いわゆる潜在成長率を考えるときに、人口というのは重要な要素であります。人口減少をしている国だから成長できないというのは全く誤りだと思います。
  例えば向こう十年、まあ二十年でしょうか、予想される人口の伸び率というのは、減少はしていますが、マイナス〇・五とかそのぐらいですね。このぐらいの緩やかな人口減少であれば、大体日本の潜在成長率を〇・三%ぐらい落とすと、このぐらいにとどまります。ですから、政策によって例えば経済の効率化を図る、生産性の上昇を図ることができれば、人口減少のマイナスの影響というのは補うことが十分できるんだと思います。そういう意味では、余り過度に悲観的になってしまう必要はないのかなと思っております。
  しかしながら、人口の問題は、二十年過ぎますともうちょっと厳しさを増してまいります。ですから、本当の意味で、例えば人口不足をどうやって補うかと。もちろん、それまでには定年の延長、女性の労働参加率の引上げということをやっていけば今申し上げたことも起こらないと。つまり、労働力は減らないことになりますが、ただ、現状で出生率が上がらないのであれば、二十年先には、特に団塊の世代のジュニアの人が退職していくタイミングでは、やっぱり人手不足という問題が日本経済の制約になってくるというときの一つの選択肢としての外国人の受入れというのがあると思います。
  ただ、外国人労働者の受入れというのは、純粋に経済的な問題だけでなくて、やはり政治的で社会的な問題でありますので、やっぱり国民のコンセンサスを取ってから実施していく必要があると思います。一つの方策としては、すぐに一気に受け入れますというよりは、二つのステップを取るということは可能だと思います。
  一つは、季節労働。例えばスイスなどでも行っているように、外国人の方に来て働いてもらうんですが、期限を決めるということで、家族じゃなくて一人で来て働いてもらうということになりますと、労働力にもプラスになりますし、税金も払ってもらうということで財政にもプラスになってくるということであります。
  しかしながら、それでは人口は増えてはいかないわけです。より日本に同化して社会に同化していくためには、定住するないしは本国から家族を連れてきて日本で更に子供を増やしていくと。そうしますと、税金を払うだけじゃなくて、やっぱり年金も払ってもらうということになりますので、日本の将来の社会保障制度の維持のためにはむしろプラスだと思います。
  この二つのステップがあるんですね。ですから、社会的なコンセンサスが得られるまでは最初のステップでいわゆる様子を見ていくと。問題がないようであれば、より定住型の外国人の受入れということによって人口の伸び率を増やすこともできると。税金も払ってもらうだけじゃなくて年金保険料も払ってもらえるということですので、社会的な政治的なコンセンサスを取りながら将来的にそういう方向に向かっていくというのは一つの選択肢としてあるのではないかなというふうに思っています。ただ、日本の将来を考えるときに、人口だけが重要な問題ではなくて、繰り返しになりますが、生産性を高めるという努力を常に怠ってはいけないと思います。
  さらに、最後に若干加えさせていただきます。
  先ほどちょっと申し上げませんでしたが、将来的な日本の姿を考えるときにやっぱり欠くことができないのはアジアとの関係ということでありまして、やっぱりアメリカ、ヨーロッパと、従来日本が非常に強い経済関係にあった国は、これは相当長い長期の低迷に入ってしまいます。一方で、アジアにはやっぱりポテンシャルがありますので、アジア、特に中国と日本がどういう形ですみ分けていくかということが日本の将来を考えるときに非常に重要ではないかなと思います。

○相原久美子君 ありがとうございました。
  今日お三人の参考人の意見を聞かせていただき、私たちも、国民のため、そしてこの国のために真摯な議論を続けてまいりたいと思います。
  ありがとうございました。