171-参-環境委員会-9号 平成21年05月26日

平成二十一年五月二十六日(火曜日)
    午前十時一分開会
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   本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○自然公園法及び自然環境保全法の一部を改正す
  る法律案(内閣提出、衆議院送付)
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○相原久美子君 当委員会におきましては初めての質問になります。関係の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
  二〇〇八年の生物多様性基本法の制定以来、生物多様性の保全に関する国民的要請、この声は大きくなっていて今回の改正に至っている、この段々の経緯、私は歓迎をいたしまして、賛成する立場から若干の質問をさせていただきたいと思います。
  まず最初なんですけれども、環境省に干潟の問題についてお伺いしたいと思います。
  この法案概要では、干潟、サンゴ等の生物多様性に富んだ海域、海の恵みをはぐくむ場であり等々を記載してございます。環境省が定義しています干潟について御説明いただくと同時に、現在の日本においてその定義に当てはまる干潟というのは何か所ぐらい存在するのか。
  それから、今回の改正である海域における保全施策の充実で、海域公園地区制度、この創設をうたっております。この指定には干潟もこの範囲に入るのかどうかお伺いしたいと思います。

○政府参考人(黒田大三郎君/環境省自然環境局長) お答え申し上げます。
  まず、干潟の定義でございますが、干潟とは、潮の満ち干によりまして干上がる干出と水没を繰り返す平たんな砂や泥の地形でございまして、内湾や河口域に発達する浅い海の生態系の一つとして定義されております。
  環境省では、現在、全国の自然環境の現状と推移を把握するために自然環境保全基礎調査を実施しておりますが、干潟につきましては、ちょっと細かい話ですが、満潮時の海岸線と干潮時の海岸線の幅が百メーター以上あって、なおかつ干潮時に現れる面積が一ヘクタール以上の広がりがあり、さらに底が砂であるとか泥であるとかあるいは小石であるとか、こういうもので形成されているものというものを全国の海岸線から一々拾い出しまして調査をして位置や面積を把握しておるところでございます。
  この結果では、全国的に見ますと一様な分布ではございませんで、太平洋沿岸や瀬戸内海などを中心とした内湾、河口に多く分布していることが明らかになっておりまして、平成十年度の調査結果では、全国の干潟、これ、なかなか箇所数で把握するのは難しゅうございまして、干潟の合計面積は約四万九千三百八十ヘクタールとして集計されておるところでございます。
  そして、今回、自然公園法の改正で海中公園地区制度の創設を盛り込んでおりますが、これまでの自然公園法の海中公園、今の海中公園地区制度につきましては、海の中の景観が非常に良好であって、そういうものを保全の対象としてきたところでございます。今回の改正は、こういうものから、すなわち海中の景観というものを保護の対象とするというところから更に広げまして、干潟や岩礁等を含む海域全体を保全の対象としようと、こういうことでございまして、全体として海域の保全の強化を図っていきたいと考えておるところでございます。

○相原久美子君 そこで、具体的な問題について大臣にお伺いをしたいと思います。
  実は、私は北海道の生まれなものですから、余り干潟というのは目にする機会はございませんでした。それで、今回、随分と干潟について調べてみました。本当にこの干潟の持つ力というのは相当大きなものがあるんだなと私は実感をしたところでございます。そして、何よりも人類にとってやはり貴重なものであるのだなと、これもまさに実感したところでございます。
  そこで、実は沖縄に存在いたします泡瀬干潟、これについて少しお伺いをしたいなと思うんですが、民主党の環境委員会のメンバーで私どもも実は泡瀬干潟の方にお邪魔をいたしまして現地の方たちからいろいろとお伺いをいたしました。
  沖縄のみに存在する生きた化石、これはクビレミドロというようですが、環境省のレッドデータブックに絶滅危惧Ⅰ種とされていると。それから、二〇〇一年のアセスの報告後に多くの新種、貴重種、これらがまた発見されている。このようなことを考えますと、日本において藻場、サンゴ礁というのは大体四、五割は国立・国定公園の地域に指定されているのですが、干潟は全国面積の一割にも満たない状況にございます。
  自然公園制度、いわゆる海中公園地区を今回制度拡大しながら何とかそういう範囲も含めた形で制定していこうというときに、この泡瀬干潟こそ私はこの範疇に適用すべきではないかと考えておりますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(斉藤鉄夫君/公明党 環境大臣) 泡瀬干潟を御視察されたこと、そして、その報告書を私も届けていただきまして読ませていただきました。その御努力に対して心から敬意を表するものでございます。
  泡瀬干潟を海域公園とすべきではないかという御質問でございますが、環境省としては、今回の改正による海域公園地区の拡充を踏まえて、今後、我が国を代表する自然の風景地としての保全利用を図る必要がある海域について積極的に国立公園、国定公園の区域に指定し、さらに重要な海域については海域公園地区の指定を図っていく考えでございます。
  しかしながら、泡瀬干潟を含む地域につきましては、周辺地域を含めこれまで国立公園、国定公園としての資質、規模を有するとは評価されておりませんで、泡瀬干潟を海域公園地区に指定するということは想定しておりません。

○相原久美子君 次に、この干潟に関連しまして内閣府にお伺いをしたいと思います。
  この泡瀬干潟に隣接する新港地区、ここは特別自由貿易地域が完成しております。そして、既に企業誘致も始まっているようですけれども、この民間への企業誘致、この当初目標そして今どの程度まで進んでいるのか、お答えいただきたいと思います。

○政府参考人(原田正司君/内閣府政策統括官) 特別自由貿易地域のお尋ねについてお答えを申し上げます。
  平成十四年に沖縄県が策定いたしました沖縄県の産業振興計画で目標値が設定されておりまして、それによりますと、平成二十三年度末に七十五社の目標数を掲げておるところでございます。
  現状はと申しますと、平成二十一年、今年の四月三十日現在で二十五社が立地をいたしておるわけでございますが、内訳としましては二通りのパターンがございまして、賃貸工場方式で立地をしておるものが十九社、そして分譲方式で立地をしておるものが六社でございます。
  この分譲方式につきまして若干伸び悩んでおるわけでございますが、県におきまして、法律で設定されております優遇措置に加えて、県条例で分譲用地価格の軽減措置を設けるなど企業誘致に努力いたしておりますので、内閣府におきましては引き続き県を支援してまいりたいと考えておるところでございます。

○相原久美子君 お伺いをいたしますと、非常に目標値から考えますと厳しい状況にあるなというように考えますが、引き続き内閣府にお伺いしたいと思います。
  泡瀬干潟の埋立事業についてです。そもそもこの泡瀬干潟の埋立事業そのものは、平成二十年に地方裁判所、これは被告が沖縄県と沖縄市であったと思いますけれども、裁判の判決が出されています。この判決にもかかわらず、しゅんせつ土砂の埋立てが内閣府の事業として行われていると思いますけれども、現在の状況そしてその判決、若干説明をいただければなと思います。

○政府参考人(清水治君/内閣府沖縄振興局長) 泡瀬地区の埋立事業でございますが、沖縄市における国際交流拠点の形成を目指す東部海浜開発事業の一環ということで沖縄振興計画あるいは沖縄市総合計画にも位置付けられているものでございまして、これまで地元の沖縄県及び沖縄市の要請に基づき、国としても、県、市に協力する形で取り組んできたところでございます。
  御指摘の裁判、泡瀬干潟埋立公金支出差止等請求事件でございますが、御指摘のように、昨年、平成二十年の十一月十九日に沖縄県及び沖縄市の公金支出の差止め等を認める地裁判決があったと承知してございます。
  その後、沖縄県、沖縄市におきましては、十二月二日に地裁判決を不服として控訴をしてございまして、今月中には、県、市の控訴を踏まえまして高裁段階での口頭弁論が開始される予定と承知してございます。
  また、埋立ての工事の状況でございますが、本年の一―三月には、これまでの護岸工事及び安全上必要な工事といたしまして護岸背後にしゅんせつ土砂を投入する護岸補強工事を実施いたしました。また、今年度に入りましても、昨年度に引き続きまして、安全上必要な護岸補強のための護岸のかさ上げ等の工事を実施しているところでございます。
  いずれにいたしましても、国といたしましては、これまで同様に、地元の沖縄県、沖縄市の考え方も十分聴きながら協力して進めていく考えでございます。

○相原久美子君 環境大臣に本来ですとこの判決の、いわゆる経済的な合理性がないという判決についてもお伺いしたいところですけれども、大臣として。ただ、係争中のこういう案件についてなかなかコメントはしづらいかと思います。
  そこで、環境大臣としてこの泡瀬干潟の埋立てについてどうお考えになっているか、環境面からお答えをいただければと思います。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 泡瀬干潟の埋立て事業を進めることについては、事業者である内閣府、それから地元の沖縄県及び沖縄市において判断をされるべきものと考えております。
  いずれにいたしましても、事業を進めるのであれば、これまでの環境アセスメントや公有水面埋立法の手続の中で行うこととされた環境保全上の配慮、これは我々が出しているわけでございますが、この配慮を十分に行っていただくことが重要であると、このように考えております。

○相原久美子君 そもそも論としまして、私は、先ほど内閣府から新港湾地区の企業の誘致状況等々をお伺いしていまして、これはもう既にして経済的な合理性、それから今の社会状況の中から破綻しているのではないかな。そして、なおかつその上この事業を進めていく、こういうことに関しまして、今までのやはり過ちの繰り返しでしかないのかなと。公共事業は一度始めたらなかなか止まらないという状況なのではないかと私自身は実は思っております。
  そして、なおかつ、実は全否定をするつもりはございませんけれども、大臣、考えて、こちらにいらっしゃる方も考えていただきたいんです。あのしゅんせつ土砂で埋めて造るところが人工ビーチと。私は、私の個人の考え方ですけれども、沖縄へ行って人工ビーチ行く方が、その期待を持っている方がどれだけいらっしゃるのかなと。沖縄に行ったらやはり自然に浸りたい、こういう国民が圧倒的に多いのではないかなというように思っております。
  また、このままですと、いわゆる平成十九年の第三次生物多様性国家戦略、ここの中に書いておりますように、積極的に藻場や干潟の保全、造成を行う、これと整合性が取れないのではないかなと考えるのですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 第三次生物多様性国家戦略は、長期的な視点に立って国土全体の自然環境の質を向上させることを目標として策定いたしました生物多様性の保全と持続的な利用に関する基本的な計画でございます。
  この中で、多くの海洋生物の繁殖、産卵、生育、採餌の場である藻場と干潟については、生物多様性の保全上重要な場所として保全、再生を推進することが記述されておりますが、この戦略は個々の事業の適否を決める性格のものではないという基本的な性格を持っております。
  御指摘のあった泡瀬干潟の埋立てにつきましては、先ほど御答弁申し上げたとおりでございますが、これまでのアセスメントや公有水面埋立法の手続の中で行うこととされた環境保全上の配慮を事業者において十分に実施していただくことが重要であると考えております。

○相原久美子君 事業主である内閣府にお伺いしたいと思います。
  現在、現地でのしゅんせつ工事は先ほどお話しいただいたような状況になっております。計画策定の進捗状況や控訴審の結果を見て、まだまだ判断をされる材料になるのかと思います。私は、沖縄の今の現状から考えまして、公共事業が一概に駄目だと言うつもりもございません。非常に厳しい状況の中で新規の産業をいかにして生み出していくか、そういうことも考えていかなければならないというようには思っております。
  しかし、干潟の埋立てというのは日本の貴重な財産、ここを対象としているわけです。先ほどからお伺いしているように、環境を守る観点からこの計画は見直しをして、そして少なくてもしゅんせつ土砂、これは何らかの形で対処していくというような検討はされるべきではないかと思います。その点についてのお考えを伺いたいと思います。

○政府参考人(清水治君) 泡瀬地区の埋立事業についての環境面等についてのお尋ねでございます。
  この埋立事業については、地元の沖縄県、沖縄市の要請に基づいて、国としても県、市に協力する形で取り組んでまいりました。その東部海浜開発事業につきましては、昭和六十二年に地元沖縄市が構想を策定して以来、市の重要事業として推進されてきてございまして、国としては、県、市からの支援要請にこたえまして、新港地区の整備に伴うしゅんせつ土砂を有効活用する形で連携協力してきたものでございます。
  環境面について若干申し上げますと、まず計画の段階で陸続きの埋立方式から干潟の埋立てを最小限とする出島方式に変更するなど、環境に配慮した計画としてございます。また、事業の実施に当たりましては、例えば海藻等について御指摘がございましたが、そういったものの保全措置も含めまして適切に環境影響評価を実施するとともに、委員会において専門家等の意見を聴きながら環境への配慮に、配慮しつつ工事を実施しているところでございます。
  本事業につきまして、先ほども申し上げましたが、沖縄県、沖縄市において控訴をしているところでございます。また、沖縄市におきましては土地利用計画の見直し作業を既に進めているところでございます。国といたしましては、こうした沖縄県、沖縄市の考え方も十分聴きながら協力して進めてまいるべきものと考えてございまして、今後とも環境への影響に十分配慮しつつ取り組んでまいりたいと考えております。

○相原久美子君 おっしゃいましたように、昭和六十二年の計画でございます。少なくとも、時代が変わってきて、本当に社会状況の中で今何が必要かということを考えることも必要なのではないかと思っております。
  時間的な制約がございまして、先ほどちょっとツルネン議員の方から住民合意、意見を聴くというところについてはお答えをいただいたと思っておりますので、若干ここの部分は省略させていただきたいと思います。
  ツルネン議員のところにもう一つ、いわゆるレンジャーのお話がございました。ここについてちょっともう少しお伺いしたいなと思います。
  中央環境審議会、この答申の中にも、必要な措置の拡充に伴う現地管理体制の充実というようなことがあったかと思います。今、地方環境事務所が設置されまして、その下部組織の先ほど来言っておりますようなレンジャー、それから非常勤の自然保護官補佐制度、こういうものがつくられているかと思いますけれども、何せ狭い日本と言われながらも日本全国のいわゆる国立公園、国定公園を対象とするとなると相当の範囲があろうかと思います。
  この人的体制、ここが十分であるかどうかということについてお伺いをしたいのと、それと、もちろんこれには財政的な問題があろうかと思います。その点でもし環境大臣の方から財政の部分もというような御要望がございましたら私どももしっかり受け止めて様々な段階で声を上げてまいりたいなと思いますが、御意見をいただければと思います。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) ありがとうございます。
  私も視察をしたときにはできるだけレンジャー、そしてアクティブ・レンジャーの方、また地域のボランティアの方と食事をしたり一杯飲んだりということで御意見を伺っているんですけれども、本当に献身的にあの広い地域を一生懸命、使命感に燃えて頑張っている姿には頭が下がる、またボランティアでやってくださっている方には心から敬意を表したいと思います。
  そういう中で、人員の拡充図っていきたいということ、そして予算も拡充したいということでございますが、人員の拡充につきましては、いわゆる定員削減という大きな方向の中で大変厳しい状況にあることは確かでございますが、生物多様性の屋台骨であるこの国立公園等を守っていくために、予算そして人員の拡充、頑張っていきたいと思っておりますので、また応援をよろしくお願いいたします。

○相原久美子君 確かに人員削減という大きな基本方向があるわけですけれども、しかしそれは新たに必要なところというのがあるということも前提としながら、私どもも是非その部分については応援をしていきたいなと思います。
  内閣官房にお伺いをしたいと思います。
  瀬戸内海国立公園にあります大久野島沖合の海域で発見されました化学兵器の疑いのある物体、これについて市民団体、竹原市、そして広島県などから、内閣官房それから環境省等々に対しまして実態把握の調査、調査結果に基づく必要な措置、関連する情報の公開と住民説明等を早急に行うべしと求められておりますけれども、どのような現状なのか、お答えいただければと思います。

○政府参考人(鎌形浩史君/内閣官房内閣参事官) 大久野島の件についてのお尋ねでございます。
  広島県竹原市大久野島沖で発見された発煙弾らしきものにつきまして、環境省、防衛省、海上保安庁から化学兵器の疑いがあるという報告を受けてございます。
  平成十五年十二月の閣議決定、「国内における毒ガス弾等に関する今後の対応方針について」におきましては、水域の事案については、発見の場所、状況等の態様に応じ、内閣官房が総合調整を行い、関係省庁間で連携して対応することとされてございます。
  内閣官房といたしましては、これに基づきまして、これまで関係省庁から状況の報告を受けつつ、関係省庁の会議を開くなどして対応方針の調整を行ってございます。また、先週、地元の広島県、そして竹原市の方から内閣官房の方に直接お見えになられて要請がございました。地元の住民の方々が不安を感じておられる、こういったこともお聴きいたしました。
  こうした地元自治体の要請もしっかりと受け止めまして、関係省庁間で連携して適切な対応がなされるように早急に調整を進めてまいりたいと、このように考えてございます。

○相原久美子君 内閣官房が恐らく関係の省庁に今働きかけているというお話だったんです。
  実は、この発見の報道からもう数か月、四か月以上たっているわけです。少なくても周辺の住民、そして、国立公園ですから様々な方たちがまた行かれるんだと思うんです。やはりここは迅速に調査なり処理なりそういうことをやっていただく、そして住民説明をきちっとしていただく、これはやはり国としての責任だと思いますので、強いリーダーシップの下、よろしくお願いしたいと思います。
  最後に、自然を守るということは、単に景観を守るということではなくて、生物多様性条約にうたわれるように、人類のいわゆる生存を支え、人類に様々な恵みをもたらすという観点でございます。何よりも環境省が、これから時代の本当にリーダーとして、少なからず、やはり私たち人類にとって環境の問題というのは大きな問題なのだということを自信を持ってリーダーシップを発揮していっていただければなと思います。そして、私たち自身もやはりこの国を、地球を守っていくということに対して環境省の後押しをしていければなと思っております。
  若干、質問の一項目を残しましたけれども、終わらせていただきます。ありがとうございました。