177-参-東日本大震災復興特別委…-9号 平成23年07月14日

平成二十三年七月十四日(木曜日)
    午後三時三十分開会
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   本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急
  措置に関する法律案(佐藤正久君外九名発議)
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○相原久美子君 民主党・新緑風会の相原久美子でございます。本日は御苦労さまでございます。
  本法案、ちょっと長いので、本法案とさせていただきます。
  本法案に対しまして、まずは反対の立場から討論をいたします。
  東京電力福島第一発電所の事故については、原子炉の一刻も早い冷却、安定化、これを実現するとともに、被害を受けられておられる方々に対して迅速かつ適切に損害賠償を行うことは論をまちません。
  東京電力による仮払いは、約五万四千世帯に対する第一次仮払いがほぼ一巡し、今月中に第二次仮払いが開始する予定です。東京電力は、当初四百人でスタートした体制を一千人に拡大し、農林水産事業者、中小企業に対する仮払いも進みつつありますが、今後更に仮払金の支払を促進する必要がございます。
  このように、仮払金の支払促進による被害者の方々の迅速かつ適切な賠償を進める必要性の認識については我々も完全に一致いたします。しかしながら、本法律案には次に述べる問題点があり、実効性に大きな疑問があります。
  第一に、本法律案では、仮払金の支払をめぐる国と東京電力との役割分担や関係が不明確です。東京電力と国と二つ窓口ができ、被害者から両者に請求が行われた場合の東電と国、あるいは皆さんが申されているようにJAなどの委託先との調整など、実務上の混乱が予想されます。すなわち、本法律案では、請求を受けると国が必ず支払うこととされていますが、その場合、東京電力は重複支払や過払いを避けるため支払を控え、かえって被害者の救済を遅らせるおそれがあります。
  第二に、本法律案では、国は支払った仮払金を東京電力に請求することとされていますが、国の請求に東京電力が必ず応じる保証がありません。東京電力が請求に応じなかった分は法律的に国民負担とならざるを得ないために、国は東京電力から回収できないことを懸念して仮払いを慎重に行わざるを得ず、迅速な支払が妨げられます。
  第三に、本法律案は、仮払いの支払に関する事務を都道府県知事に委託する規定がありますが、これは被災地の自治体に追加的な負担を掛け、復旧復興を遅らせるおそれがあります。福島県は、六月十五日の緊急要請で、損害賠償の枠組みの構築に当たっては、地方公共団体に人的、財政的な負担が生じることのないようにすることを求めています。福島県も説明会の開催や申請書の配付は現在も行っておりますので、この規定を設けても問題ないとの主張でございますが、現在行っていることを行うためだけに新しい法律は必要ありません。この法律は、福島県に更なる負担を課すことになるかと思われます。
  第四に、本法律案は、仮払金の支払等にかかわる事務を全て文部科学大臣に負わせることとするものになっております。文部科学大臣だけで迅速かつ適切な支払をすることは困難でございます。実際に発生する業務に応じ最も適切な大臣が支払の業務を行うのでなければ、実効性ある仮払金の支払は困難だと思います。
  第五に、本法律案は仮払いの骨組みだけを規定しており、対象損害の範囲、仮払金の算定方法、必要書類等、実際の仮払いに必要な事項の大半を政令に委ねている反面、法律の公布から十日後に施行するものとされています。政令制定の際には、何十以上の賠償項目の被害額の算定ルールなどについて専門家の意見などとともに作成する必要がございます。また、既に東京電力が千人体制で取り組んでいるコールセンターや支払審査機関などの新たな組織づくりが必要になります。これらを公布後十日以内に終えるというのは到底不可能でございます。実際の仮払いをうまく機能させるための真摯な検討を欠いた規定と言わざるを得ません。
  以上、野党提出の本法律案は、被害者のための仮払金の早期支払を追求しながらも、それを可能とするための基本的な制度づくりを全く欠いたものと言わざるを得ません。お互いの共通認識となっていたものの、協議が調わなかった、この点について残念に思います。
  そもそも、被害者の十分な救済のためには、いつまでも仮払いを続けるものではなく、速やかに本格賠償に移行することが必要不可欠であります。この観点から、既に国会に提出されております原子力損害賠償支援機構法案を速やかに成立させ、そして被害者の方々への迅速かつ適切な損害賠償のための万全の措置が講じられるよう、それを政府、そして東電にも更なる努力を求め、反対討論とさせていただきます。